nea Guitar School

個人レッスン、自由予約制。大阪にあるギタースクールです。

推薦の理論書

みんなに無駄なお金を使わせたくないし、うちのレッスンは僕の汚い字(笑)の手書きテキストで事足りるので、「以下の教材を買い揃えなさい」という意味ではありません(すでにみんな何冊かは持ってると思うし)。もし、新しく何かを買うのならばということです。

ポピュラー系は良書がない。ほとんどない。<ポピュラー理論>と書いてあってもその実体はクラシックの楽典の簡易版か、もしくは著者がJazzの人で非常にJazzに偏っているかのどちらかだ。うちは零細とは言え(笑)一応スクールだから、具体的に名指しで批判する訳にもいかないけれど、大手の出版社から出ているよく売られているものはたいてい全滅。BjorkもU2もRadioheadも知らないようなおじさんが<ポピュラーミュージック理論>を書いていたりする。

その反面、クラシック、ジャズ、この2つのジャンルには良書が多い。とくにクラシックの和声や調性、歴史についてかかれた本には興味深い本がいくつもある。それはやはり歴史が長いからで、そもそも書いている人も多いしそれだけ淘汰されているからですが。だから、みなさんの興味のある分野には良書はなく、興味のない分野に良書は多く存在する(困った状況だね)。そんな中で僕がいくつか推薦するものを。

僕の推薦する基準は、本が「薄い」こと。一見奇怪な意見だけども「薄い」ということは
「簡潔に、端的に書いてある」
ということです。(かもしくは、初歩のことしか書いてないか)
分厚い本というのは一見あらゆる事を統合的にまとめて書いてある気がしますが、いたずらに迂遠な表現をしてあるだけのものが多いのが実際。そんな中でまずこれ。

 book_01JAZZ THEORY WORKSHOP
 小山大宣
 <武蔵野音楽学院>

僕の知る限りこれが一番薄くて、かつ必要な事項が簡潔に、しっかりとまとめられている。基本的に和声のことしか書かれていないし、ちょっと古くなってしまっている部分もあるけれど、この文章量でこの内容はかなり良書に入ると思う。ゼロからの人にお進め。

book_06和声―理論と実習(1)(2)(3)
島岡 譲、他 (著)
<音楽之友社>

前言と反するけれどもこれは長大なもの。全3冊ある。音大に行こうとする人間は好むと好まざるに関わらずこれを使うしかないという、残念ながら選択の余地のないもの。ある程度簡単なポピュラー理論が分かる人は赤(1巻目)は飛ばして黄色(2巻目)からでいい。

book_02 The Lydian Chromatic Concept of Tonal Organization
 George Russell 著
 <ATN>

よく誤解されている本。これは別にAdlibの手法について書かれた本ではないのだけれど、そういう捉え方をされてしまう事が多い。<手法>と<調性概念>について書かれた<手法>の部分だけが一人歩きしている感がある。個人的にはとても影響を受けたし、ぜひみんなにも読んでもらいたいのだけれど、その前に一度正統的な調性にもとづく音楽理論をとことん勉強して、既存の調性構造の矛盾を体感している必要がある。それが分からない段階で読んでしまうと、「なんだ、要は何やっても自由ってことでしょ?」で話が終わってしまう。

book_04 「ブルー・ノートと調性」
 インプロビゼーションと作曲のための基礎理論
 濱瀬元彦 著
 <全音楽譜出版社>

全体的にはあまり共感できないのだけれど、IV7の存在について学術的にスポットを当てた、という事に関しては非常に評価したいと思う。これは過去に全ての人が「とにかくBlue Noteだから・・」と棚上げしてきた問題だから。ただ、どうして旋律の説明をベースでしようとするのかが不可解ではある(付属のCD)。でもとにかく興味深い本。

book_07バルトークの作曲技法
エルネ・レンドヴァイ (著), 谷本 一之訳
<全音楽譜出版社>

ちょっと、あまり人に紹介したくないな、という本(そのくらい良い本だという意味)。これはとても触発された。めずらしく、声を大にして進めたい。しかし同時にまた、正統的な音楽だけをやりたい人にとってはまったく無用の本。内容はかなり難しい。

book_03 和声の歴史
 オリヴィエ・アラン著/永富正之、二宮正之 訳
 <白水社>

理論書ではなく、和声史といった種類のもの。この手の本には良書が多くていろいろおすすめはあるのだけれど、これはそれほど長くなく、少ない文章量で密度の濃い内容。この内容にしては限りなく専門用語を排して分かりやすく書かれていると思う。おすすめです。

とりあえず本を開いて、最初から難しい専門用語とか、何かの一覧表のようなものが大量に並べてあるようなものは、注意した方がいい。あらゆる事が統合的に解説してあるようで、その実何も音楽の本質を捉えていないものが多い。バークリーメソッドとか、ああいうのって、僕にはどうも「音楽ロボット人間」を作るマニュアルのように見えて仕方がない。そう考えるとラッセルの「Lydian Chromatic〜」はあれだけの刺激的な内容なのに、誰にでも分かりやすい言葉で書かれている。そういった、理論を書こうとしているのでなく、音楽を書こうとしている彼の姿勢に、賞賛を送りたい。(彼の理論の「信者」になるかどうかは別として)
  1. 2008/06/27(金) 08:41:26|
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